私が訪れた「バサックスラム」は、約5000人(2000年の調査時)の住民がいます。
電気ガス水道等もちろん無く、ゴミが散乱し匂いも酷く、住居は一家が4畳程のバラックに住むという劣悪な生活環境なのですが、ここは自治会を結成している数少ないスラムでもあります。

この自治会では僅かな収入から自治会費を集め、それを積立しながら次の事業を行っています。
@教育(学校運営)
A女性の手工業活動
(内職で家計を助けるため)
B伝統文化活動(伝統舞踊の継承)
C孤児・ストリートチルドレンのケア
(このスラムに200人いる。
現在38人を支援している)
D農業活動
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
補足
@「教育」について
自治会では、子ども達の未来のために、学校を自主運営しています。
2002年から始まったそれは、「幼児部」「小学校(1〜3年生のレベル)」の2クラスを持ち、2〜15歳までの生徒が通っています。但しスラムの子ども達の全員ではありません。
理由1.公立学校へ通っている子もいます。
公立学校は基本的に無料ですが、
教師が謝礼をせびるので、ある程度
お金がないと通えないそうです。
理由2.子どもに教育を与えることそのものに
賛同しない親がいます。
彼らは生きることそのものを諦めている
ように見えます。
学校は先生を含めて、全てボランティアで運営されています。子ども達はとても活き活きと授業を受けていました。
また、学校には寺院も併設され、子ども達の宗教道徳教育の場となっています。また、定期的に近隣寺院から僧侶が招かれ、住民のお年寄り方が集まり、心のよりどころとなっています。

補足
B「伝統文化活動」について
子ども達は放課後に踊りに取り組んでいます。有名なラーマヤナの「アブサラの舞」やコミカルな「ココナッツ・ダンス」など、ボランティアの先生から教わっています。我々を歓迎するために踊ってくれました。

皆とても真剣で、どの踊りもすばらしいのですが、特にこの写真の子は、カンポジアのコンクールで優勝した程の腕前で、将来が楽しみです。
また、踊りを一緒に見た未だ幼い子ども達も大はしゃぎで楽しそうでした。ですが、この子ども達も、踊りが終わるとゴミ拾いの生活に戻ります。

補足
D「農業活動」について
スラムの住民は土地を持っていません。現在住んでいる場所も、政府によって仮に与えられた場所であり、いつ移動命令が出るか分かりません。よって土地を耕したとしても、収穫までそこにいれる保証はないのです。
そこで自治会では、各自の出身地の親族を頼りに、田畑を借りるお願いをしています。そして5ヘクタールの土地を借り受けることが出来ました。これによって10トンの収穫が見込めるそうです。
その利益は上記自治会活動へ当て、経済基盤を整え、持続可能な自立を目ざしています。

ただし「収穫物を運搬するトラック」が無いため、業者を頼まねばならないのですが、運賃がとても高いため、現状では利益は余り期待できないそうです。
しかし、大人達の本気で生きる姿は、将来への夢も希望も失っているかに見える子ども達に、生きていく喜びと可能性を見出させることでしょう。
これ程の展望を住民自らが描き、自立に向けて歩んでいる姿は、我々を大いに感動させました。
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